一頁

● 貧窮問答の歌・ひんきゅうもんどうのうた

● 堅塩・かたしお
精製してない固形の塩

● 取りつづしろひ・とりづつしろひ
「取り」=手に取って、「つづしろひ」=少しずつ食べて

● 糟湯酒・かすゆざけ
酒粕を湯で溶いたもの

● うち啜ろひて・うちすすろひて
すすりすすりして、「うち」は強調の接頭語

● 咳ぶかひ・しはぶかひ
咳をして

● 鼻ひしびしに・はなひしびしに
「ひしびし」は鼻をすする音の擬声語

● 髯かき撫でて・ひげかきなでて
髯をかき撫でて、=得意げな態度で

● 吾を除きて・あれをおきて
私を除いて、私以外に

● 人は在らじ・ひとはあらじ
すぐれた人はいない、才能ある人材はいない

● 麻衾・あさぶすま
麻の夜具、寝具

● 布肩衣・ぬのかたぎぬ
布で作った肩をおおう短い衣=この時代の普段着

● 有りのことごと・ありのことごと
有るものをことごとく、ありったけ、

● 服襲へども・きそへども
重ねて着ても

二頁

● 乞いて・こいて
欲しがって、 具体的には「食べ物と衣服」を欲しがって

● 汝が世を渡る・なんじがよはわたる
あなたは世を渡っていくのか、生活していくのか

● 然る・さる
そうなのであろうか

● わくらばに
偶然にも、まれに

● 人とは生るを・ひととはあるを
人であるのに、人として生まれて来たのに

● 作れる・なれる
人間となっている、他の人と同じ体に作られている

● 布肩衣・ぬのかたぎぬ
布で作った肩をおおう短い衣=この時代の普段着

● 海松の如・みるのごと
「海松」=海藻の一種、海松のように

● わわけさがれる
破れて下がった

● 襤褸・かがふ
ぼろぼろの着物、ぼろ着

三頁

● 曲廬・まげいほ(曲がった小屋)

● 直土に・ひたつちに(土に直に)

● 藁解き敷きて・わらときしきて(藁をまき敷いて、藁をまいて土の上に敷く)

● 憂ひ吟ひ・うれいさまよひ
憂い悲しみ

● 火気・ほけ
火の気

● 甑・こしき
米を蒸すこしき

● 掻きて・かきて
かかって

● 飯炊く・いひかしく
御飯を炊く

● 鵼鳥・ぬえどり
夜に人がうめく様な声で鳴く。

● 呻吟ひ居るに・のどよひおるに
「呻吟ひ」=細々としたうめくような声

● いとのきて
ことさらに、特別に

● 端截る・はしきる
端を切る

● 楚取る・しもととる
「楚」=刑罰に用いる人を打つ棒、楚を持った、むちを持った

● 寝宿戸・ねやど
寝ている部屋の戸口

反歌

●憂し・うし
つらい、苦しい

●恥し・やさし
恥ずかしい