● 新羅に遣はされし使人等・しらぎにつかはされしつかいひとたち
遣新羅使[けんしらぎし]のことです。遣唐使と同じく朝鮮半島へも外交使節が派遣されました。それが遣新羅使です。聖武天皇の時代735年新羅からの使者が日本へやって来て国号を「王城国」と変えたことを知らせます。当時日本は新羅を従属国と考えていたため無断で国号を変えたことを責め使者を都に入れず追い返しました。翌736年今度は阿倍継麻呂を大使として日本から新羅へ使節団が派遣されます。それがこの歌に詠われている遣新羅使です。今度は彼等が新羅から外交使節としての扱いを受けず、虚しく帰国することとなりました。

● 贈答・ぞうとう
歌を贈ったり返したりする、歌を詠み合う

● 情を慟み・こころをいたみ
ここでは「長い航海で家族に会えない寂しさを嘆く」こと

● 所にあたりて
場所に即して

● 君が行く・きみがいく
あなたがこれから行く

● 海辺の宿・うみべのやど
船が停泊した港の宿

● 霧立たば・きりたたば
霧がたち込めたなら

● 立ち嘆く・たちなげ
「立ち」=意味を強める接頭語

● 息と知りませ・いきとしりませ
吐息だと気づいてください。