鬼 一頁

PDF191ページ

世阿弥は鬼の物まねを語るにあたり、まず「これ、ことさら大和の物なり。一大事なり。」とその重要性を述べています。大和申楽を代表する芸が鬼の物まねだというのです。しかし、当時鬼の物まねは大和申楽以外の申楽でも得意芸として演じられていました。また、田楽でもそれが演じられていました。観阿弥が「わが風体の師なり(自分の芸の師匠である)」とまでいって尊敬していた田楽本座の一忠は、鬼の物まねの名手として知られていました。(PDF P242参照)鬼の物まねは、ことさら大和申楽のみが得意としたものではありませんでした。一忠に劣らず観阿弥も鬼の物まねを得意としており、その力強い鬼の表現は当時大いに注目を集め、賞賛されていました。ですから、「これ、ことさら大和の物なり。一大事なり。」とは、父観阿弥の鬼の物まねの人気を念頭に書かれた一文だったように思えます。

鬼は大きく二つに分かれています。一つが「怨霊・憑物などの鬼」です。これは、人間に怨霊が乗り移ったり憑依した結果鬼となったものです。鬼と言っても元は人間であり、この世に存在するのです。ですから面白く演じる手がかりはあり、演じ易い物まねといえます。「演じ易い物まね」とは面白い物まね、人気のある物まねと理解してよいかと思います。もうひとつは「本物の地獄の鬼」です。これは、この世に存在しない地獄の鬼です。上手く演じるほど(上手くまねるほど)に、ただ恐ろしさだけが大きくなっていく反面、面白さは全く出てきません。ですから、非常に難しい演技なのです。
檜書店さんが公開されているサイトです。クリックまたはタップするとサイトが開きます。
⚪️ 能における「鬼」とは(1)
⚪️ 能における「鬼」とは(2)
代表的な鬼の能です。あらすじを解説したサイトと五分間の動画で解説したサイトへリンクしています。あらすじは「the 能 . com」能の五分間は「山本能楽堂」のサイトです。
⚪️ 紅葉狩 能の五分間
⚪️ 土蜘蛛 能の五分間
⚪️ 道成寺
⚪️ 葵上 能の五分間
⚪️ 黒塚(安達原) 能の五分間
⚪️ 鉄輪
