秋さらば見つつ偲へと〈巻三・四六四〉大伴家持

妻はなでしこの花に自分の面影を託し家持の記憶の中で生き続けようとしました。家持はそんな妻の心情を歌にして妻を永遠の中に蘇らせたのです。

この解説サイトは電子書籍にリンクが貼られていますが、電子書籍をダウンロードせずに読まれる方(主にスマートフォンで読まれる方)のために、電子書籍の表紙とページの画像、語句解説、朗読音声などが含まれています。

パソコン(Windows・Macintosh)又はiPadで読まれる方は、電子書籍をダウンロードしてお読みください。ダウンロードサイトは右サイドバーに表示されたURLをクリック又はタップすると起動します。

下のページ画像をクリック又はタップすると朗読音声が流れます。

下のページ画像で現代語訳を確認してください。

<語句解説> をクリック又はタップすると、
本文中の重要語句について解説しページが開きます。

<語句解説>

歌を深く味わってみます。

大伴家持の歌です。

「あなた、秋になってこのなでしこが可憐な花をつけたなら、それをながめながら私のことを思い出してください」

秋、大伴家持は庭の軒下の敷石に妻が植えたなでしこが咲いているのに気づき、亡き妻の言葉を思い出しました。このなでしこを植えた時、家持の妻はすでに重い病の床に伏しており、自分の命が秋まで保たないことを覚悟していました。

なでしこに自分の面影を託す妻。そんな妻の心持ちに「やまとなでしこ」という言葉がイメージとしてぴたりと浮かび上がってきます。

妻はなでしこの花に自分の面影を託し家持の記憶の中で生き続けようとしました。家持はそんな妻の心情を歌にして妻を永遠の中に蘇らせたのです。