銀も金も玉も何せむに〈卷五・八○三〉山上憶良
「金、銀、宝玉、そんなものが何になる。子供に勝る宝がどこにあろうか。」
この反歌は万葉集の中でも名歌として知られ、親の子への愛情の表現として幾度となく引用されてきました。「子に勝る宝なし」は、憶良のこの反歌からきています。
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歌を深く味わってみます。
「金、銀、宝玉、そんなものが何になる。子供に勝る宝がどこにあろうか。」
この反歌は万葉集の中でも名歌として知られ、親の子への愛情の表現として幾度となく引用されてきました。「子に勝る宝なし」は、憶良のこの反歌からきています。
一方、この歌からは、憶良のこんな本音も聞こえてきます。「地位、名誉、出世、そんなものが何になる。私にはこの子がいる。それで十分じゃないか。」門閥を持たない悲しさから、憶良は実力ほどにその能力を評価されませんでした。憶良はその悔しさを子への愛情で補おうとしたのです。この反歌からは、そんな憶良の悲しい心情が本音として伝わってきます。