天地の分かれし時ゆ〈巻三・三一七〉山部赤人 富士の山を望める歌
山部赤人の歌です。万葉随一のナチュラリスト(自然派歌人)として知られる山部赤人の歌の中でも、その反歌とともに赤人を代表する歌です。
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歌を深く味わってみます。
山部赤人の歌です。万葉随一のナチュラリスト(自然派歌人)として知られる山部赤人の歌の中でも、その反歌とともに赤人を代表する歌です。
都から東国へ旅する途中に、駿河の国で仰ぎ見た富士山の勇壮で神々しい姿に圧倒され、その感動をそのまま歌にしています。
私たち現代人は、実物の富士を見たことがなくとも、写真、テレビ等でそれを既に見知っています。ほぼ正確な富士の姿を知っており、改めて実物を見るまでもなく、それはもはや身近な存在です。しかし、万葉人がはじめて富士を見たときの感動は、現代人には想像できないくらい圧倒的だったのではないでしょうか。富士を望める東国の者以外で、一生のうち富士をその目で見る事ができた者は、当時ほんのわずかだったはずです。だから赤人は富士の頂を自分の目で仰ぎ見ることができた好運に感謝し、富士の勇壮で神々しい姿を歌で讃える事で、その感動を表現したのです。
「語り継ぎ 言い継ぎ行かむ 不尽の高嶺は」この言葉には「後世の人達が、一人でも多く己の目で富士の頂を仰ぎ見る好運に恵まれますように、この勇壮で神々しい富士の姿に圧倒された私の感動を、子々孫々語り継ぎ言い伝えていってもらいたい」赤人のこんな思いが言霊となって宿っています。
<電子古典読書会> 山部赤人と賀茂真淵が仰ぎ見た霊峰富士
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